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はかせののんびり教室 【ピアノのしくみ編】 第14回

2015年5月 1日

よいこのみんな、コンニチハ!
はかせぢゃよ!



前回に引き続き、ピアノの進化の歴史を追っていきたいと思う。

今回は、グランドピアノから生まれたアップライトピアノが、どのように現在のアップライトピアノのかたちに変化してきたか?
そして、その間に登場したさまざまなアップライトピアノを紹介するゾ!

前回同様、浜松市楽器博物館にご協力いただき、アップライトピアノの珍しいすがたを、たくさん撮影させていただいたゾ!



アップライトピアノの誕生

世界で初めてアップライトピアノが誕生したのは、1735年といわれておる。
ちょうど18世紀頃は、王様や貴族だけのものだったピアノが、少しずつそれ以外の人々にも広がってきたときで、狭いスペースにも設置できるようにしたいという時代でもあったんぢゃ。



初期のアップライトピアノは、グランドピアノの前框より後ろをそのまま垂直に立ち上げたもので、現在のアップライトピアノとは全くちがった構造をしておった。



具体的には次のような構造のものもあったんぢゃ!

・アクションが弦、響板より奥にある。

・ハンマーが弦を奥から手前にたたく。



・ピン板、チューニングピンは鍵盤のすぐ上にある。

・ヒッチピンが一番上にある。

・アクションの構造上、弦や響板は鍵盤より上方にしか伸ばせなかった。
そのため背の高いピアノにならざるを得なかった。



このようなピアノは『アップライトグランドピアノ』とも呼ばれていて、代表的に四種類のヴァリエーションがあるのぢゃ。



ピラミッドピアノ

現存するアップライトピアノで最も古いといわれているのは「ピラミッドピアノ」である。
1745年にフリーデリチ (Christian Ernst Friederici)によって初めて製作されたんぢゃ。

『グランドピアノをそのまま立ち上げた』というなごりが、いたるところに見られるゾ。



なるべく高さを低くするための工夫として、 弦は全線、右上から左下に平行に張られており、その結果、左右対称のピラミッドのようなケースが出来上がった。



キャビネットピアノ

1795年、ストダート(William Stodart)は新たなアップライトピアノ「キャビネットピアノ」を作った。

写真は浜松市楽器博物館所蔵、1830年頃 J.ブロードウッド製作。



弦は垂直に張られていて、上端を水平に揃えて張られているために、本棚のようなケースが生まれたんぢゃ!



そのため打弦点は鍵盤よりかなり上方にあるので、ほとんどのキャビネットピアノは長い突き上げ棒(スティッカー)を持つスティッカーアクションを採用しておる。



長いスティッカーが並んでいる様子が、鳥かごのように見えることから、「ケージ・アクション」とも呼ばれておるんぢゃ。
ちなみに、実際に物を収納できるものもあるゾ!



浜松楽器博物館においてあるキャビネットピアノは、より改良が加えられたもので、アクションが響板より手前にあり、響板も鍵盤の下まで伸びておる。
初期のかたちのものは、国立音楽大学においてあるそうぢゃ!



ジラフピアノ

1798年ごろから作られ始めた。このピアノは弦の下端をそろえて垂直に張られているため、キリンのような特徴的なケースが誕生した。
まさに、グランドピアノが立ち上がった感じぢゃろう!?

写真は浜松市楽器博物館所蔵、19世紀 ニューヨークにて製作。



このピアノはチューニングピンが上のほうに取りつけてあるな。
低音部のほうはどうやって調律するのかのう?



これらのアップライトグランドピアノに共通して言えるのは、どうしても背が高くなってしまうということであり、その後さまざまな工夫によりアップライトピアノの小型化が進んで行くこととなる。



その一つの工夫として、『弦を床まで伸ばすことに成功したピアノ』が、1800年にフィラデルフィアのホーキンス(John Isaac Hawkins)、ヴェニスのミュラー(Matthias Muller)によって発表された。

つまり、おおよそ床から鍵盤までの高さの分、ピアノ全体の高さが低くできるようになったわけぢゃ!



また、1802年にはラウド(Thomas Loud)が交叉弦を発明し、特許をとった。
この時点でアップライトピアノは現在のものとほぼ同じ形になった。

写真は浜松市楽器博物館所蔵、1840年ごろ モーリー製作。



こちらは交差弦が発明されるまでの平行弦のピアノぢゃ!

写真は浜松市楽器博物館所蔵、 エラール製作。



コテージピアノ

コテージピアノは1811年よりコラード(Collard)、サウスウェル(William Southwell)、ワーナム(Robert Wornum)らによって製作された。

コテージピアノの特徴はその小ささであり、大体1mほどの高さしかなかった。

特にワーナムは、ブライドルテープとバックチェックを備えたアクションを発明し、現代のものとほとんど変わらないピアノを製作している。
アクションがほぼ現在の形にまとまったのは、1826年のことである。

このアクションはフランスに渡り、プレイエル(Ignace Pleyel)やパープ(Henri Pape)らによって改良された



こちらのピアノは浜松市楽器博物館所蔵、1840年ごろモーリー(Morley)製作のピアノぢゃ!
これまでのピアノに比べると、かなり小さくなったぢゃろう。
中をあけてみると...



こんな感じになっておる。
交差弦以外にも、小さくするための工夫がなされておるゾ!



ごらんのとおり、アクションが鍵盤より下についておる!
これは『ドロップアクション』と言って、背の非常に低い、古いピアノにはよく見かけるかたちぢゃ。

鍵盤とアクションはどのようにつながっているかというと...



このように鍵盤から下に棒がのびておる!
この棒がアクションのウィペンをひっぱり上げるのぢゃ。

このピアノのアクションは、ブライドルテープなどもついており、ドロップアクション以外は現在のアクションとほぼ変わりないかたちになっておるな。



以上、かけあしで回ってきたが、アップライトピアノが現在のかたちになっていく間の、さまざまな改良を分かっていただけたぢゃろうか?
水平にねていたグランドピアノを立ち上げたことによって発生したさまざまな問題を、解決してきた結果が今のアップライトピアノのかたちなのぢゃ!

写真だけでは分かりづらい部分もたくさんあるぢゃろうから、ぜひ現物を自分の目でみてみることをオススメするゾ!
浜松市楽器博物館には、写真で紹介した以外にもたくさんの楽器がおいてあるので、ピアノが好きなキミはきっと楽しめることうけあいぢゃ!

浜松市楽器博物館のホームページはこちら!



次回で、長かった『ピアノのしくみ』の講義も、いよいよ最終回になるゾ!
今までやってきたことのおさらいをしようと思っておるので、楽しみにな。

それでは今回はここまでぢゃ!サラバぢゃ!



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